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ツールの話 ~私の趣味(楽器演奏)から~

ツールの話 ~私の趣味(楽器演奏)から~

今日はいつもとは趣向を変えて私の趣味の話をしたいと思います。

私の趣味はクラリネットという管楽器を演奏することで、オーケストラや吹奏楽などの活動を行っております。

楽器(Musical Instrument)は演奏するためのツール、道具ということになり、クラリネットも楽器の一つです。

冒頭の写真をご覧ください。2種類のクラリネットが並んでいます。画面上にあるのがフランス・ベーム式のクラリネットで、世界で大多数の方に愛用されている楽器です。日本でもほとんどのプロ奏者を始め、学校の吹奏楽部で使われている楽器もフランス・ベーム式です。一方、画面下にあるのがドイツ・エーラー式のクラリネットで一部のドイツ語圏の奏者を中心に使われている楽器です。

クラリネットは18世紀に発明された楽器で、フルート、オーボエ、ファゴット、トランペットより新しい部類に入ります。

初期のクラリネットは小・中学で習うバロック式リコーダーに近い形状で、運指が難しい課題がありました。例えば、ソプラノリコーダーの『ファ』や高い『ド』は特殊な指使いですし、♯や♭といった半音系の音も運指が特殊でした。

そこで「より効率的な運指が出来ないか」という考えの下で開発されたのが、フランス・ベーム式のクラリネットです。冒頭の写真でもわかるように、キー(金属部分)の構造が合理的になっており、難しいパッセージでも容易に演奏できる運指になっています。

フランス・ベーム式のクラリネットの発明で、全てのクラリネット奏者が転向したかといえば、答えはNo.です。世界的名門オーケストラであるウィーン・フィルハーモニー管弦楽団やベルリン・フィルハーモニー管弦楽団の他、一部のクラリネット奏者は今でもフレンチ・ベーム式を拒み続けています。

その理由は、楽器の音色にあります。下記写真をご覧ください。楽器管体に親指を入れたときのものです。

下管上部に親指を入れたときの様子(フレンチ・ベーム式)
下管上部に親指を入れたときの様子(ドイツ・エーラー式)

下管(楽器本体下部)の上部に親指を入れた場合、ベーム式、エーラー式ともに親指が管体に入りきらないのがわかります。

下管下部に親指を入れたときの様子(フランス・ベーム式)
下管下部に親指を入れたときの様子(ドイツ・エーラー式)

一方、下管下部に親指を入れると、ベーム式は親指が入るのに対し、エーラー式は親指が入らないのわかるかと思います。フランス・ベーム式は管体の内径が円錐構造になっており、ベルに向かうに従って内径が広くなる構造になっています。結果として、フランス・ベーム式の音色は開放的で明るいものになっているのが特徴です。

ドイツやウィーンの奏者は旧来の音色を引き継ぐべく、オリジナル楽器を改良することを選びました。具体的にはオリジナル楽器で苦手としていた運指の改善として、変え指用のキーを増やすことで対応しました。その結果がドイツ・エーラー式のクラリネットになります。当然ながらキーの構造は合理的でなく、運指に難がある部分もございます。それと引き換えに音色や発音時のニュアンスについて、フランス・ベーム式にない独特なものがあります。また、モーツァルトやウェーバーなどドイツものの作品では、ベーム式より逆に吹きやすかったりします。

私は両方の楽器も演奏できますが、主にドイツ・エーラー式を使用しています。音色もそうですが、ニュアンスや音の繫がり方、音域の違いに対する音色の差が少ない利点の他、バロック式の運指を苦にしていないという理由によります。

大事なのは、ただツールや道具を選べばよいのではなく、用途や使用者の使い勝手などの目的を明確にすることです。

ちなみに私は最新の高い楽器ではなく、中古でありながら素材が良く、程度の良い楽器を選んでいます。

  • ドイツ・エーラー式 ⇒ カール・ライスター氏(元・ベルリンフィル首席)選定品
  • フランス・ベーム式 ⇒ 私自身による選定

以上、趣味の話でした。