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大規模システム開発におけるトラブル事例① ~組織間の『情報の流れ』を止めるな~

大規模システム開発におけるトラブル事例① ~組織間の『情報の流れ』を止めるな~

先日、弊社に開発業務に関するご相談を受けました。業務の概要は下記の通りです。下記スライド参照。

※会社名、相談者名などの個体名、秘密情報は一切伏せて記載しております。

  • 相談者は会社Aの正規従業員。
  • 会社Aは次世代製品の中核となる新規アイテムのプロジェクトチームを立ち上げた。
  • 相談者は上記プロジェクトにおいて、企画、販売・サービスおよび開発部署からの構想・機能要件を技術要件・システム設計に落とし込む役割を担う部署aに配属。
  • 相談者は部署aの主実務者として従事。
  • 上記部署は策定した技術要件・システム設計を詳細要件(+実装)に落とし込む業務を会社Bへ準委任していた。

相談者からのご相談で把握している内容は概略下記の通りです。

  • プロジェクトチーム内の関係部署より吸い上げた構想・機能要件の量が多く、要件の粒度がバラバラなため、膨大な精査工数を要している。
  • 関係部署からの情報・指示が所属長経由で相談者に垂れ流しされていて、受け皿が足りない。
  • 所属長は相談者からの進捗、困りごとを吸い上げて貰えない。
  • 上記理由により、技術要件・システム設計の業務の工数が足りない。
  • 請負先(会社B)との窓口は所属長一人。
  • 所属長から会社Bに対して要件提示が出来ていない。会社Bから所属長経由で相談者に執拗な要求が来ていた。
  • 相談者は心の不調を訴え、休職した。
  • 会社Aは会社Bに対して、請負契約(準委任契約)を解除した。

ひと言でいうと、相談者は所属長、関係部署より依頼された作業が溜まる一方、成果や課題提起する相手が実質存在していないために、作業負荷が相談者のキャパシティを超えてしまった、というものです。

正直、大変お気の毒な話です。会社としても相談者、請負先といった貴重な戦力(資産という)を失うわけですから、明らかにマイナス効果になります。

では、業務遂行上、どこに問題があったのでしょうか?

私の上げるポイントは下記3つです。

  1. 関係部署間の情報伝達・共有手段の確保
  2. プロジェクトに適合した開発基盤の確立
  3. 請負先企業との連携

今日は『1.関係部署間の情報伝達・共有手段の確保』についてお話しします。

対規模のシステム開発において、様々な領域、企業、部署の連携無くしてプロジェクトの成功はあり得ません。組織間連携で最も重要なのは、確実な情報伝達・共有になります。『情報』は人でいえば『血液』そのものであり、『血液』が人体の各組織に流れないと組織の機能が失われて人は致命傷を負うのと同様、『情報』が伝達・共有できないと組織は機能を果たせず、プロジェクトが失敗するのです。

そして、『血液』には『動脈』と『静脈』があるのと同様、『情報』も『入力』と『出力』があります。これを『相互作用』と呼んでいます。『情報』が常に流れている状態こそ、組織やプロジェクトチームが機能している状態なのです。

実務担当者の方が組織やプロジェクトチームが正常に機能しているか、検証するのは大変難しいです。組織やチーム全体を把握すべき所属長、上司といったマネージメントを遂行する方の役割です。

もし、把握できないのであれば、スライドに示すような絵を描いてみてください。状態が一目で分かるはずです。

信頼性工学、品質工学の領域において、このようにシステム間の相互作用を可視化して(安全)分析を行う手法をSTAMP/STPAといいます。『組織』も分類上『システム』に含まれるため、組織が機能しているかの客観的な検証が可能なのです。検証の結果、組織間の相互作用を見える化できないようであれば、改善すべき要素があると判断すべきです。

解決策としては、情報を共有すべき当事者間にて、組織そして当事者としてアウトプット創出が継続して出来ているか、を検証することが必須です。その為には進捗確認だけでなく、業務自体が機能しているかどうかの確認が必要なのです。業務改善ミーティングはそのための手段です。私は今までの仕事の中で、後者の確認を実施していない企業・組織の実例をたくさん見かけています。ちなみに大手自動車メーカー・トヨタ自動車(株)はこの活動を最低でも週1回、定期的に実施しております。※私はトヨタ自動車(株)にて4年間、開発現場で仕事をさせて頂きました。

弊社は、組織上の人事的なトラブルに対して、客観的・合理的な手法にて解決策・改善策を提案いたします。

大規模システム開発における組織体制例
大規模システム開発における組織体系例
当事者間の情報共有
開発当事者間、組織間での情報共有の例
情報共有の考え方
情報共有の考え方