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業務委託、請負契約の落とし穴

先日、下記裁判に関連して各メディアから報道されました。

※時事ドットコムHPより
野村HDに1.1億円支払い命令 未払い報酬、IBM逆転勝訴―東京高裁:時事ドットコム (jiji.com)

概要を言うと、野村HD側が自社のとあるプロジェクト達成に必要なシステム開発を日本IBMに委託したが、開発が計画通りに進まず、プロジェクトの進捗が遅れてしまった、というものです。

野村HD側は日本IBMが委託契約通りに作業を行わなかったとして訴訟を起こし、1審は野村HD側の勝訴となりましたが、2審では日本IBMに対し契約外の不当な要求(日本IBM側の作業工数を無視した度重なる変更要求)をしたとして、野村HD側の敗訴となりました。

私自身は法律家でも弁護士でもございませんので、法的なコメントはできませんが、前職では様々な企業、団体と契約を幾度となく行ってきました。以降はエンジニア、マネージメントを行う立場として述べます。

請負業務の形態は、私が経験してきた中では、派遣契約、業務委託契約、業務準委任契約があります。

それぞれについて解説すると、

1)派遣契約:派遣先企業(業務を依頼する側)は派遣元企業に代行して、派遣従業員の業務管理をすることができる。派遣先企業は派遣従業員の作業工数に応じた対価を派遣元企業に支払うが、派遣元企業は派遣先企業と締結した契約に沿ったスキルを持つ人員を派遣することが要求される。

2)業務委託契約:委託元企業と委託先企業との委託契約で最も重要なのは成果物とその対価である。企業内のマネージメントはそれぞれの企業が受け持ち、委託元企業は委託先企業の実務担当者へ直接指示することはできない。委託先企業は契約において遂行可能な能力を開示することが求められる一方、委託元企業は委託先企業の能力を大きく超えた要求をすることはできない

3)業務準委任契約:基本的には業務委託契約に準ずるが、違いは委託元が成果物の提示がどうしても難しい場合、工数を対価とすることによって契約する方法である。融通の利きやすい形態であるが、しばしば契約の透明性が問われる。第三者への証明に必要なエビデンス類は業務委託契約と同様に残さければならない。

となります。今回の裁判の場合2)業務委託契約が該当しますが、論点は

  • 日本IBMは業務委託契約の条項に従ったか?
  • 野村HDは日本IBMに対し、業務委託契約の条項を逸脱した要求をしていないか?
  • 業務委託契約の内容自体が日本IBMの作業能力を超えたものになっていないか?
  • 当初の業務委託契約に対して、アノマリー(想定外事象)が発生した時の対応が両者間で協議・合意されていたか?
  • 上記に関するエビデンス類が確実に残されているか?

おおよそ上記になるかと考えます。

契約ごとで大事なのは、双方の企業・団体が同等の利益を享受することです。これがなければプロジェクトの成功はありません。契約の事前協議のテーブルについた時点から相手を尊重することを絶対に忘れてはなりません。